上まぶたのくぼみの原因と解消法
（主にヒアルロン酸注入）について

上まぶたのくぼみを医学的に説明を受けるとたいていの場合は加齢とともに眼窩脂肪という眼球の周りを覆っている脂肪が奥に引っ込んでしまうためですという説明になります。

眼窩脂肪は加齢とともに奥まる傾向にあります。その分、目の下が膨らんでくるということもあります。

ただし、上まぶたが窪む要因はいくつかありますのでここで説明をしようと思います。

眼球の周りにある骨の枠を眼窩といいます。
この眼窩が特に眉毛付近の骨が眼球に比べて相対的に出ている方などは上まぶたが窪んだ印象になりやすいものです。
いわゆる彫りが深いと言われる状態です。
これは加齢に関係なす成人している方であれば個性としての症状となります。

まぶたの厚みが厚い方は瞼のくぼみが目立ちにくい傾向にあります。
また、その反対でまぶたの厚みが薄い方はくぼみがちになる傾向があります。

まぶたの厚みというものは瞼の皮膚の厚みだけではなくその下の筋肉（眼輪筋）や脂肪（ROOF）の厚みも影響します。

眼窩脂肪（がんかしぼう）とは眼球をぐるっと覆っていてクッションの役目をはたす特殊な脂肪です。

この脂肪が少ない方はくぼみ目になりがちです。

これは生まれ持った個性として少ない方がいらっしゃいます。

また、加齢とともに眼窩脂肪は奥まることがあります。

あとで述べる眼瞼下垂症ではこの脂肪が奥まっている状態が珍しくなく、くぼみの傾向を強くします。

• もともと眼窩脂肪が少ない
• 加齢とともに奥まった

眉毛を挙げると誰でも上まぶたがくぼみがちになります。
実際に鏡に向かって眉毛を挙げてみると上まぶたが窪むことを確認することができます。
わざと眉毛を挙げると上まぶたはくぼみますが、無意識のうちに眉毛を挙げる現象があります。

• 眼瞼下垂症
  まぶたの開きが悪くなる現象を眼瞼下垂症といいますが、眼瞼下垂症がおきると無意識のうちに頑張って目を開こうとするため同時に眉毛があがります。
  このときに上まぶたもくぼみ傾向となります。
  眼瞼下垂症の症状としてくぼみ目が挙げられるのはそのためです。
• 一重まぶた
  生まれつき一重まぶたの方は視界を得るために眉毛を挙げていることが多いです。
  中でも瞼が薄い方はその影響で上まぶたが窪んでいることがよくあります。
  力を抜いてわざと眉毛を挙げないようにすると上まぶたのくぼみも解消されたように見えることがあります。

上まぶたのくぼみの解消方法にはまず原因を定めることが大切です。
その原因となっているものは必ずしも一つとは限らないためどの原因で窪んでいるかを診察で把握することになります。

上瞼のくぼみ目の解消方法は大きく二つに分かれます。

一つは注入による方法、もう一つは手術による方法です。

注入による方法の方が比較的簡便にできるため多くは注入による方法を行うことがありますが、注入による方法では限界がありそう、または逆に不都合が出そうな場合には手術による方法を検討することもあります。

注入による方法はいくつかあります。
最も簡便な方法はヒアルロン酸注入による方法です。
その他、脂肪注入や成長因子を使用した注入治療などがあります。

まぶたのくぼみを解消する治療で最も多く行われる方法はヒアルロン酸注入によるものです。
美容医療で使用されるヒアルロン酸はボリュームの付加にとても優れており、瞼のくぼみなどにマッチした方法になります。

ヒアルロン酸注入の次に多く行われる方法として脂肪注入があります。

脂肪注入は注入した脂肪が定着すると半永久的に効果が長持ちするというメリットから好んで行われます。

しかしながら脂肪を採取するという工程が余計に必要であることがデメリットとしてあります。

また、注入した脂肪は必ず一部が吸収されてしまいます。そのため定着率を上げるためにマイクロコンデンスリッチファット（mCRF）という状態に加工して注入する手技を当院では採用しております。

ヒアルロン酸注入や脂肪注入以外の注入治療としてグロースファクターを使用したものがあります。

グロースファクターとは日本語で成長因子（増殖因子）と言われるもので、おもに組織のボリュームの生成を促すものです。

床ずれを早く改善させるためにスプレーをする場合などに使われるものでその成分を美容医療へ応用する方法です。

効果がでると長期に渡って保つことができます。

ただし、効果の出かたにばらつきがあることが欠点になります。

注入による治療とくらべると簡便さはありませんが、手術による方法もあります。
また、症状によっては手術を選択せざるを得ないこともあります。

皮膚を切開してご自身の脂肪組織を移植することがあります。
特に二重手術をする際や眼瞼下垂症手術をする際にボリュームを付加する目的で行います。
脂肪はどこから採取した脂肪でもよいですが、たとえばバッカルファットや腕の内側などあります。
その際、脂肪に皮膚の成分を一部（真皮）をくっつけて移植することもあります。
そこまでしても全てが生着するわけではありません。
また、欠点として目を閉じた時に凹凸感が出やすいというリスクがあります。

上まぶたのくぼみが眼瞼下垂症によって眉毛を挙げたり、眼窩脂肪が奥まっている場合には眼瞼下垂症手術を選択することがあります。
眼瞼下垂症手術を行うとたいていの場合はくぼみ感はいい方向にいきますが、完全になくならないこともあります。
また、眼瞼下垂症手がある場合に注入で治療を行おうとすると眼瞼下垂症が悪化してしまう可能性があるため眼瞼下垂症の治療を優先せざるを得ないことも珍しくありません。

例えばもともとひとえまぶたの方で無意識のうちに頑張って眉毛を挙げて生活をされている方は、二重手術をすると眉毛が降りてきてまぶたのくぼみ感が解消されることがあります。

上まぶたのくぼみの治療を考えるときに最も気になることは眼瞼下垂症がないかということです。
眼瞼下垂症がある場合には何かを注入すると眼瞼下垂症が悪化してしまったり、目をあける重みが強くなったりするリスクがあります。
軽度であれば問題ないこともありますが、中等度以上の眼瞼下垂症がある場合には慎重に考える必要があります。

また、まぶたのたるみの状態によっては注入をすることによってたるみが悪化することも考慮にいれて治療方法を選択します。

上まぶたのくぼみに関して様々な方法のご紹介をしましたが、ここでは特に多いヒアルロン酸注入による解消方法についてお伝えしていきます。

上まぶたのくぼみの程度にもよりますが、軽度のくぼみ感であればほとんどくぼみのない状態にすることができます。

極度に目の上が窪んでいる場合には完全にくぼみを解消することが難しい場合もあります。

また、一度にすべてを解消するのではなく、段階的にふっくらさせることもよい方法です。

また、直後では多少の凹凸感があったとしても1週間程度の間でなだらかになってくることが通常です。

まぶたがむくみやすい方は直後よりも1~2週間以降の方がむくみ感がでることもありますが、逆にみずみずしく見えることもあります。

うっすらとした上まぶたのくぼみの方はとてもヒアルロン酸注入が向いています。
また、眼瞼下垂症がある方はヒアルロン酸注入を行うとさらに目の開きが悪くなる→眉毛を挙げる→上まぶたがくぼむという悪循環になってしまうこともあります。

まぶたのたるみが強い方もまぶたのたるみが強調されることがあります。

マイクロカニューレを使用するため必要最小限の局所麻酔を使用します。

マイクロカニューレを使用することによって針を刺す箇所が少なくて済みます。

ヒアルロン酸が入ってくるときはほとんどわずかに痛みがありますが、強い痛みではありません。

通常は笑気麻酔（鼻マスク麻酔）まで使用することはほとんどありません。

ヒアルロン酸は世の中に様々な種類のものが存在しますが、比較的柔らかいものを使用します。

両まぶたで0.5cc~1cc程度を注入することが多いです。

場合によっては経過をみながら後日追加注入を行います。

注入後はほとんど痛みを伴いません。

麻酔が入っていることもあって一時的に瞼をあけることに重みを感じることがあります。

当日のみの場合もあれば2日くらいつづくこともあります。

まぶたは非常にむくみが出やすい場所なので3~4日程度はむくみ感がでます。

目が開けれないほど腫れることは通常ありません。

ただし、内出血が強く出た場合には多少の開けにくさが続く可能性やまぶたに青タンが1~2週間程度つづくことがあります。

ヒアルロン酸注入の効果は一般的に半年程度と言われますが、上まぶたのくぼみをヒアルロン酸で解消した場合の効果は1年以上続くことも珍しくありません。

平均で半年から1年程度の実感具合ではないかと思います。

ヒアルロン酸注入によるありえる経過（留意点・気になる点）として以下のようなことが挙げられます。

特に目を閉じた時に注入したヒアルロン酸の膨らみ感がでることがあります。
できるだけでないように注入を行いますが、もともとの状態によってはやむを得ないこともあります。

くぼみが解消するとその分まぶたの二重の幅が若干狭くなることがあります。

また、たるみが強い場合にはそれが強調される傾向にあります。

とくにもともと瞼がむくみやすい方はその傾向が強く見えることがあります。

明らかな眼瞼下垂症の場合には、そのくぼみにヒアルロン酸を注入すると目の開き具合が一段と悪化してしまいます。ときに、軽度の眼瞼下垂症の方も、上まぶたにヒアルロン酸を注入するとその重みで眼瞼下垂症が顕著になってしまうことがあります。

直接的には目を開けるのが重い状態になってしまいます。

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